2020-06-03
合理的配慮とは、障害者権利条約の批准に向けた国内法として2013年に制定され、2016年に施行された「障害者差別解消法」によって、国公立学校を含め行政には「合理的配慮」の提供を義務付けされました。また私立などの学校機関や民間事業所には努力義務を課せられました。
そもそもここで言う「障害者」とは誰を指しているものか、ということですが、「障害者差別解消法」の中では、以下のように定義をされています。
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であって、障害及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。
この定義の通り、「障害者差別解消法」の中でも、対象とする障害者は、『障害者手帳の所持者だけに限られない』となっています。障害者手帳を持っていなくても日常生活において、様々な社会障壁によって障害がもたらされている方も合理的配慮の対象であるとされています。
合理的配慮のポイント
合理的配慮のポイントは2点あります。
1点目は「配慮を受ける本人にとって望ましい合理的な配慮になっている」ということです。本人がその配慮を希望していない場合や、本人以外の人だけが望んでいる配慮については該当をしないということです。
2点目は「配慮する側にとっても過剰な負担や無理のない合理的な配慮の内容になっている」ということです。例えば配慮をしようとした際に物理的、または金銭的に不可能、またはかなりの負担が配慮する側にある場合には「合理的配慮」には該当をしません。なので、配慮をする側、される側、双方にとって合理的な配慮になっているかが重要です。
例えば、学習障害(LD)や視力等、何らかの影響により授業中に黒板の文字が見えづらく勉強をするのにも困難をきたしている場合、この状況を改善するために、座席を一番前にしてほしいという当事者本人から申し出があった場合、学校側(配慮をする側)にとっても過剰な負担にはならないため、この場合は合理的配慮といえます。
ですが、黒板に書く内容をすべて事前にまとめて、それをコピーして本人に渡してほしいといった申し出に関しては、まとめるにあたる時間や業務にあたるものが学校側にとって過剰な負担と考えられ、合理的配慮としては妥当であるとは言えない場合もあるかもしれません。
ただしあくまでも、配慮をする側、される側、双方にとっても合理的であるという観点から、この内容が合理的配慮にあたるかどうかの判断は、双方のその時期や状況によって変化するので絶対的な基準はないと思います。
まずは配慮をしてほしい内容をしっかりと当事者本人含め話し合っていただき、その後、配慮をお願いしたい機関に対し、話し合いの場を持ち、申し出をすることがスタートかと思われます。